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プロジェクトストーリー

韓国向け水素ディスペンサー、
前例なき大量生産への挑戦

韓国の水素エネルギー利活用の拡大を支えるべく、水素ディスペンサー37台の生産に挑んだ部門横断プロジェクトを追跡 。
心臓部である流量計の内製化や現地の過酷な稼働環境など、
数々の困難を「ワンチーム」の絆で突破した、プロジェクトメンバーたちの挑戦の記録です 。

参加メンバー

  • F.U

    流体制御システム営業部
    水素機器営業課・課長

    2016年入社。
    プロジェクトの顔として
    顧客と向き合い、
    社内の各部門を繋ぎ合わせた調整の要。

  • M.T

    流体制御システム設計部
    水素機器設計課・課長

    2015年入社。
    技術の責任者。
    流量計内製化という難題に対し、
    膨大なデータと向き合った。

  • S.T

    流体制御システム設計部
    水素機器設計課

    2022年入社。
    配属直後にプロジェクトに投入され、
    若手ながら韓国規格への適合や
    現地対応を担った。

01

挑戦状37台という未知のスケール

  • 今振り返ると、2022年から始まったこの挑戦は、当社の歴史を塗り替える大きな転換点でした。きっかけは、Nikkiso Clean Energy & Industrial Gases Korea Co., Ltd.様が韓国内で水素ステーションの建設プロジェクトを加速させているというニュースを聞いたことです。当社はパートナーとして名乗りを上げ、そこから約半年の短期間で、水素ステーション稼働までのスケジュール、仕様、予算、そして何より「トキコなら何ができるか」を証明するための粘り強い調整を続けました。当時は夕方に韓国渡航が決まり、その数時間後の夜7時には韓国便に乗っているという、今思えば凄まじいスピード感でしたね。
  • そして2023年、ようやく契約が合意に至り、届いた注文書の内容を見て、設計部内にも激震が走りました。内容は「水素ディスペンサー合計37台」。
  • 本当に驚きましたよね。水素ディスペンサーの受注は、通常1台、多くても一度に2~3台レベルです。それが一気に37台。国内・海外問わず、当社にとってかつてない規模の大量受注でした。
  • 納期は約9カ月。一つの工程で生じた些細なミスや部品調達の遅れが、37台すべての納期を遅らせ、プロジェクトを頓挫させる……そんな緊張感が常にありました。設計部門の代表として、部品調達のスキーム作りから、これまで経験したことのない大量生産ラインへの落とし込みまで、すべてをゼロから構築する重圧は相当なものでした。
  • 韓国では国を挙げて水素社会を推進する機運が高まっており、私たちの過去の納入実績や、国際規格に準拠した高い充填性能が非常に高く評価されていました。この期待を絶対に裏切るわけにはいかない。営業、設計、製造、品質保証、生産管理、調達まで、全セクションを横断した大規模なプロジェクトが結成され、まさに「ワンチーム」の挑戦が始まりました。

02

技術者の執念心臓部「コリオリ流量計」内製化という高い壁

  • このプロジェクトにおける最大の技術的課題、そして大きな決断となったのが、水素ディスペンサーの心臓部である「コリオリ式流量計」の内製化でした。これは、水素を超高圧・超低温で車両に充填する際、その質量流量を正確に測ることで、適正な課金を可能にする極めて重要なデバイスです。
  • 37台という大量受注を完遂するためには、コストダウンと供給の安定化が至上命題でした。そのためには、これまで外注していた流量計の構成部品を自社で作る必要があった。しかし、社内からは「本当に間に合うのか」「この短期間で精度が出せるのか」と、反対や懸念の声が噴出しました。営業の立場としても、納期が刻一刻と迫る中で、開発が間に合わなければすべてが止まってしまう。正直、祈るような気持ちで設計チームを見守っていました。
  • 最大の壁は、流量計内部にあるチューブの「曲げ」加工でした。コリオリ流量計は、チューブが測定物の流れにより微細に振動し、そこに測定流体を流すことで発生する微細な「ねじれ」の量をセンサーで読み取って流量を算出します。このチューブの曲がり具合が0.1mmでも狂うと、温度や湿度の変化によって計測精度に大きなばらつきが出てしまうのです。
  • 想定した精度が出ず、ようやく一歩進んだと思ったら翌日にはまた戻ってしまう。そんな試行錯誤が2ヶ月間、毎日続きましたね。
  • 水素を扱うため、国際規格で求められる強度を保たなければなりません。チューブを曲げすぎれば肉厚が薄くなり、強度が落ちる。しかし曲げが甘ければ精度が出ない。また金属は変形を加えると元の形状に戻ろうとする(スプリングバック)ため、あえて設計値よりも深く曲げ、金属が戻る力を計算して形を整える必要があります。膨大なデータと格闘し、最適な曲げの数値を追い込んでいく。納期が迫り、「次が最後の試作だ」という極限状態の日は、プレッシャーとの戦いでした。
  • 内製化が成功したという知らせが届いた時の安堵感は今でも忘れられません。Mさんたちが技術者のプライドをかけてやり抜いた成果が、プロジェクトに命を吹き込んだのです。
正直、祈るような気持ちで設計チームを見守っていました

03

国境を越える「規格」の壁数ミリ単位の攻防と若手の奮闘

  • 私は2022年に入社してすぐにこのプロジェクトに投入されました。最初に直面したのは、韓国独自の規格への適合という壁でした。当社の製品はすでに高い国際規格に準拠していましたが、韓国には、日本とは異なる厳格な技術基準があります。配属1年目だった私は、まず山のような韓国の規格書を翻訳し、その内容を隅々まで理解するところから業務をスタートさせました。
  • 以前の案件ではお客様側で規格の解釈をしてくれることもありましたが、今回は私たちが主体となって「どの部品を、どう設計すれば規格を通るか」を証明しなければなりませんでした。
  • 規格をクリアするために、内部の配管レイアウトを変えたり、特定のスペースを確保したりすると、今度はディスペンサー筐体のサイズが大きくなってしまう。しかし、ステーション側の設置スペースには限りがあるため、コンパクトさは維持しなければならない。この「性能」「規格」「サイズ」のトレードオフをどう両立させるか。設計図面上で数ミリ単位の調整を繰り返しました。
  • 社内だけでなく、韓国のお客様とも密に連絡を取り合い、時にはビデオ会議で現地の声を直接聞きながら、課題を一つずつ潰していきました。先輩たちのアドバイスを受けながらパズルを組み立てるような感覚でしたが、この時に苦労して得た認証ノウハウが、現在の米国向け案件にも大きな強みとして活きていると感じます。
設計図面上で0.1mm単位の調整を繰り返しました

04

現場での洗礼日本の常識が通じない「過酷な稼働環境」

  • 無事に37台を納入し、ステーションが稼働し始めてからも、戦いは続きました。水素ディスペンサーは、ステーションの中でも唯一ユーザーが直接触れる機器です。何か不具合があれば、真っ先にディスペンサーが疑われます。
  • 「エラーが出た」という連絡があれば、すぐに原因を究明しなければなりません。週末に連絡が入り、週明けの月曜日にはもう韓国の現場に立っている……そんな出張もありました。
  • 現地のデータを解析して驚いたのは、日本とは全く異なる環境下での「使われ方」でした。一つは、韓国の厳しい冬です。極寒の中で、ノズルについた微細な水分が凍結し、スイッチが作動しなくなるという、日本では想定しづらい事態が起きました。
  • 私が驚いたのは、その充填回数です。韓国では水素バスや大型トラックの普及が非常に早く、一台のディスペンサーにひっきりなしに車両がやってきます。驚くべきことに、日本の3〜4年分に相当する充填量が、韓国ではわずか半年でカウントされていました。
  • 機器への負荷が想定を遥かに超えていたんです。現場で現地のエンジニアと肩を並べて議論し、時には夜遅くまで泥臭く一つ一つの事象を追い、原因究明を行いました。
  • この過酷な稼働データを得られたことは、設計者として大きな収穫でした。どんなに厳しい環境でも、どんなに酷使されても壊れない「真の堅牢性」とは何か。それを現場で学んだことが、現在の製品開発の指針になっています。
泥臭く一つ一つの事象を追い、原因究明を行いました

05

誇りと使命脱炭素の最前線で、未来のインフラを作る

  • プロジェクトを終えて今感じるのは、部門の垣根を越えた「ワンチーム」の重要性です。営業が夢を語り、設計がそれを形にし、現場がそれを支える。この循環があったからこそ、37台を納入するという前例なき壁を突破できました。
  • 同感です。ベテランの先輩たちが、どんなに困難な状況でも決して諦めず、技術的な解を見つけ出す姿を間近で見られたことは、私にとって何よりの学びでした。「お客様の期待に応えたい」という想いが、自分を突き動かしてくれたと感じています。
  • 正直、辛い局面も多かったです。設計の遅れはすべての後工程に影響するという恐怖。でも、それを支えてくれたのは「一緒に悩んでくれる仲間」でした。このメンバーでなければ、コリオリ流量計の内製化は成し遂げられなかった。
  • 今、トキコシステムソリューションズには、世界中から熱い視線が注がれています。日本という水素先進国で磨き上げた技術は、今や欧州やアジア各国から必要とされています。
  • お客様との信頼関係は、納入後も保守対応を通じてずっと続いています。私たちが作っているのは、単なる機械ではなく、10年後、20年後の当たり前になる「未来のインフラ」です。
  • 脱炭素社会という、地球の未来に関わる最先端の仕事。その誇りを胸に、これからも私たちは仲間と共に、前例なき道を切り拓いていきます。

Timeline

プロジェクトの軌跡

2022年 Nikkiso Korea様よりプロジェクトの打診。
2022年後半 半年間の技術交渉・仕様策定。韓国と日本を往復する日々。
2023年 韓国向けディスペンサー37台を正式受注。大規模プロジェクトチーム発足。
コリオリ流量計の自社開発に着手。2ヶ月に及ぶ「曲げ」の試行錯誤。
内製流量計を搭載した37台を順次出荷・納入。
納入後 極寒の韓国でのトラブルシューティングと、24時間365日の安定稼働に向けた保守体制の確立。
現在 韓国プロジェクトの成功をモデルケースに、米国向け認証取得や欧州進出を本格化。

Product

水素ディスペンサー

水素ディスペンサー

ガソリン自動車にガソリンを給油するように、燃料電池自動車に水素を充填するのが水素ディスペンサー。現在、ガソリンスタンド併設型水素ステーションや、天然ガススタンド併設型水素ステーションなど、マルチエネルギーステーションの建設が始まっており、トキコの水素ディスペンサーは50%近いシェアを獲得しています。

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